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国選弁護人と私選弁護人の違い
捕まったり起訴されたりしてしまった方に付く弁護人は、国選弁護人と私選弁護人がいます。いずれも弁護士しかなることはできません。
弁護人の権限そのものは国選弁護人も私選弁護人も同じですが、両者には以下のように大きな違いがあります。
国選弁護人は、国が選任する弁護人のことで、被疑者段階で選任される被疑者国選弁護人と起訴後に選任される被告人国選弁護人があります。
ただし、被疑者国選弁護人は、逮捕後に勾留されて初めて選任されます。そのため、被疑者国選弁護人は、比較的拘束期間の短い逮捕(最大72時間)から拘束期間の長い勾留(最大20日間)に移行することを阻止する活動を行うことができません。
また、国選弁護人は、名簿順に指名されるため、被疑者や家族がどの弁護士をつけるか選ぶことはできません。
これに対して、私選弁護人は、被疑者・被告人自身や家族が選ぶことができます。これから一緒に頑張っていこうと思える弁護士を自分で探せるというのは、不安でいっぱいの状態では大きな安心なのではないでしょうか
また、私選弁護人は、いつでもつけることができるため、逮捕を回避するための活動や逮捕後早期の身柄釈放に向けた活動も行うことができます。
私選弁護のメリット
まとめると、私選弁護人をつける大きなメリットは、
- 被疑者自身や家族が、どの弁護士をつけるかを選ぶことができること
- 勾留を待たずに捜査段階から弁護活動ができること
の2点です。
日本の刑事実務では、いったん起訴されれば無罪になる可能性は0.02パーセント未満、つまり有罪率は99.9%といえます。しかし、犯罪白書によれば、起訴前であれば、約60パーセントが起訴されずに解放されています。そのため、刑事事件では不起訴獲得に向けた捜査段階からの弁護活動が極めて重要といえます。