不起訴とは、刑事裁判を回避し、前科を付けない形で事件を解決する方法です。そのために弁護士がお手伝いできることがあります。この記事では、
– 不起訴の基本と類型について
– 不起訴に向けた弁護士の活用方法
– 刑事事件の罪名別解説
– 家族や友人が関与する不起訴処分のサポート
を説明していきます。この記事を読むことで、検察官が不起訴とするために弁護士がどのような活動をするのか、そのために家族や関係者はどのような協力ができるのかなど、刑事手続きの具体的な対応や流れを踏まえて理解することができます。
目次
不起訴の基本: 弁護士が解説
不起訴とは、刑事事件において、検察官が被疑者を起訴しない判断をすることです。不起訴になれば前科が付かず、履歴書の賞罰欄への記載も不要です。有罪となった場合のように、今後の人生に大きな影響を及ぼすことなく、再出発が図れます。しかし、不起訴になるかどうかは、検察官の裁量によります。弁護士が事件に適切に関与することによって、検察官が不起訴としやすいような資料・証拠を収集することができます。
不起訴となるのは、証拠や嫌疑が不十分であるときや示談が成立するなどして裁判手続きを経る必要がない場合などです。弁護人としては、前科の有無や前刑の内容、時期を把握したうえで、家族や職場からの支援の在り方を模索するなど、環境を早期に整えます。本人の反省や被害弁償、示談に取り組み、事案に応じて不起訴としやすい資料を収集します。
これらの活動は、仮に起訴されてしまっても裁判手続きに極めて有利な資料となるので、やって無駄になるということにはなりません。いずれやることになるなら、早期に取り組んだ方がいいということです。
これらの証拠や資料収集について弁護士が関与することで、被疑者の事情や背景を的確に伝えることができ、検察官の判断に影響を与えることが期待できます。
不起訴と無罪判決の違い
不起訴と無罪判決は、どちらも前科が付かない点で共通していますが、刑事裁判を経るかどうかという違いがあります。
不起訴は、検察官が被疑者を裁判手続きに付さない判断をすることなので、刑事裁判は行われません。一方、無罪判決は、裁判が行われた結果、裁判所が被告人を無罪と判断することです。
不起訴にむけての弁護士活動
弁護士は、検察官や被害者及びその関係者と交渉することになります。そのためには、被疑者及びその関係者との適切な連携が鍵となります。弁護士の活動に協力してもらうため、まずは弁護方針をできるかぎり明確にし、被疑者及びその関係者にお伝えします。示談交渉の結果や証拠を整理し、検察官に提供します。検察官とは事案の特質をふまえて、不起訴に向けた説得を試みます。
初回接見と家族対応の重要性
初回接見は、弁護士が事件の事実や背景を把握し、適切な弁護活動を展開するための重要なステップです。被疑者や被告人の家族との連携も、事件解決に向けて大切な役割を担います。
初回接見では、まず被疑者と弁護士が信頼関係を築くことが求められます。弁護士は被疑者の話を丁寧に聞き、真実を解明するために必要な情報を収集します。
家族対応も適切に行うことで、事件解決に大きく影響します。家族は被疑者の心情や状況をよく知るため、有益な情報提供ができることがあります。また、家族が弁護活動をサポートすることで、被疑者の心理的負担を軽減できます。
早期対応が重要である理由は、証拠の保全や釈放交渉、捜査への影響力が高まるからです。速やかに弁護士に依頼することで、有利な立場で事件を進められる可能性があります。
弁護士との連絡方法・面会の流れ
相談の流れは以下のようになります。
– 電話やWebで相談予約
相談日を調整しますが、刑事事件の特性上、急を要する必要がある場合、その旨を受付担当者にお伝えください。
– 来所、電話、ウェブで相談
相談では、弁護士に事件の状況や進捗をできれば時系列に沿ってお話しください。資料があればあるほど、弁護士も具体的な解決策や今後の見通しについてお伝えできるようになります。
電話で法律相談を予約する
※お急ぎの方はお電話でご予約ください。
刑事事件の罪名別解説
交通事故やひき逃げ事件での不起訴
被害者の方のご心痛が大きいときは、謝罪のためとはいえ加害者本人とは会いたくないという被害者の方も多くあります。それでも謝罪の意思を示す必要はありますので、弁護士への相談をお勧めします。
万引きや窃盗での不起訴
万引きや窃盗事件において不起訴とする資料としては、第一に、初犯であることや被害額が少ない場合、第二に、被害者との示談です。
起訴するかどうかの判断がされる前に示談の提案・締結をめざすという観点から、弁護士がサポートして、合意内容を書面化することができます。
詐欺事件での不起訴
詐欺事件と言っても、様々な類型があります。
もし犯罪が行われていたのであれば被害者との間で示談を目指すのはもちろんですが、証拠が十分に確保できないまま逮捕されてしまうケースもあります。被疑者本人が犯行を否認し、ご家族もそれを信じている状況で、弁護士は可能な限り主張をまとめ、検察官と交渉します。その結果、証拠不十分で不起訴となることもあります。
性犯罪での不起訴
性犯罪は特に示談が難しい類型です。通常、被害者が被疑者本人との接触を拒否しますし、被疑者の家族等からの連絡であっても、受け入れがたい状況にあるのが当然です。
それでも、被疑者側からすれば被害弁償や示談締結を求めないわけにもいきません
被害者側からしても、著しい精神的打撃を慰藉するには、謝罪で足りるはずはありません。
厳しい環境に置かれた被害者の気持ちをできる限り想像しつつ、示談締結に向けた話し合いをすることになります。
このような交渉に関しては、特に弁護士によるサポートが必要になると思われます。