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未成年の子どもが逮捕されてしまったら・・・

山下江法律事務所

目次

未成年の子どもが逮捕されてしまったら・・・

 未成年のお子さんが犯罪行為に手を染めてしまって逮捕される事態が生じたとします。このような場合、大人が逮捕された時と同じように刑事手続が進められてしまうのでしょうか。答えはノーです。未成年者に対しては、未成年者が大人と比較して未だ未成熟で、それゆえ更生する可能性が大人よりも大きいという理由などから、大人の刑事手続とは違った配慮がなされています。以下、未成年者が逮捕されてしまった場合は、基本的にどのような手続や処分が待っているのか、ご説明致します。

 まず、未成年者が逮捕されてしまった後は、基本的には、大人と同じ期間、警察の留置場などに勾留されてしまいます。大人と同じで、この段階では中々釈放してもらえません。
 この勾留期間が満了した後、大人であれば、検察官により、起訴するかどうかが判断されることとなります。
しかし、未成年者はこの段階で起訴されることはありません。この時点で犯罪に及んだ疑いがあれば、未成年者の事件は検察官から家庭裁判所に全て送られることになります。家庭裁判所に事件が送られた後は、軽微な事案でないような限りは、同裁判所において審判(未成年者に対する裁判のようなものとご理解いいただければと思います。)が開かれ、そこで未成年者に対する処分が決められることになります。

 検察官から事件が送られた時に、家庭裁判所は、未成年者の非行傾向や家庭環境など様々な事情を勘案して、未成年者を鑑別所に入れるかどうかを判断します。鑑別所に送られなかった場合は、この時点で釈放され、日常生活を送りながら審判を待つことになります(この場合は軽微な事案である場合が多いので審判自体が開かれず、そのまま事件が終結することもあります。)。他方、鑑別所に送られた場合は、4週間ほど鑑別所の中で、審判が開かれるのを待つことになります。

 審判においては、懲役刑などの刑罰は下されず、大きく分けて以下の4つの内、いずれかの決定が下されます。

①不処分決定

 文字通り何の処分もしないという決定です。

②保護観察決定

 施設に収容させるような処分ではなく、一定期間、未成年を地域の保護司の指導監督に付するという決定です。

③少年院送致決定

 未成年者を少年院に収容するという決定です。

④児童自立支援施設・児童養護施設送致決定

 児童自立支援施設送致決定とは、家庭的な雰囲気がある施設に未成年者を収容するという決定です。同施設は開放施設であるという点で、閉鎖施設である少年院とは少し性質を異にしています。この決定が下されるのは、高校生未満である子どもに限られているのが実情と言えるでしょう。
 児童養護施設とは、保護者のいない子どもや虐待されている子どもを養護するための施設です。そのため、非行性のある子どもに対して何か処遇を行うことは想定されておらず、児童養護施設送致決定が下されることはあまりありません。

 このほか、未成年者が殺人などの重大犯罪に及んでいた場合には、検察官に事件が送り返されるという逆送決定(この場合、未成年者は起訴され、基本的には大人に対してとられる刑事手続と同じような手続を経て刑罰が下されることになります。)が下されたり、また、最終的な処分を保留するものである試験観察決定などが下される場合もあります。

 未成年者が逮捕されてしまった場合は、学校を長期間休まざるを得なくなって単位や出欠日数が足りなくなる事態が生じるなど、その将来に重大な影響を及ぼす場合があります。そのような事態に適切に対処するためにも、未成年者が逮捕されてしまった場合は、まず専門家に相談されることをお勧めします。

執筆者:山下江法律事務所

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