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未成年でも逮捕されるのか? 逮捕された場合の処遇と考え方

山下江法律事務所

 「未成年」は、「まだ成年になっていない人間」として扱われます。このため、法律を侵した場合でも、成人とは異なる対応がとられる場合もあります。

 今回は、この「未成年の犯罪」について注目し、解説していきます。

未成年者でも逮捕はされる! その条件と厳罰化の傾向について

 20歳未満の人間を、「未成年」といいます。彼らが犯した罪は、「少年犯罪」として裁かれます。たとえば、けんかの末にだれかを傷つけてしまったり、店の物を盗んだり、カツアゲしたりした場合はこれにあたります。

 「未成年の犯罪は裁かれない」「未成年の犯罪は逮捕されない」と考える人もいるかもしれません。
 しかし実際には、犯行時14歳以上ならば逮捕される可能性はあります。また、14歳未満であっても、「触法少年」として、児童相談所長などによって措置がとられることもあります。

 なお極刑である「死刑」についてはまた扱い方が異なります。死刑は犯行時18歳未満の者には科せられず、18歳未満の少年が死刑に相当する罪を犯した場合は無期刑になります。18歳以上で20歳未満の場合(18歳・19歳)の場合は、未成年であっても死刑が科せられる可能性があります。実際に、凶悪犯罪の犯人となった18歳の被告が、最高裁で死刑を言い渡された事例もあります。

 「子どものしたことだから逮捕されない」「未成年ならば死刑にはならない」と考えるのは誤りで、実際には未成年にも逮捕・死刑の判断が下される可能性があるのです。

 未成年は少年法の元にありますが、現在はこの少年法のあり方も少しずつ変わり始めています。2020年の9月には、「起訴された場合は、18歳や19歳でも実名報道を可能とするべきではないか」などの議論も出ています。
 この議論には当然賛否はありますが、現状は少年に対する厳罰化の傾向がみられます。

未成年者で逮捕された場合の処遇について

 未成年が逮捕された場合は、まずは警察による取り調べが行われます。逮捕期間は最大で2日間(通常は2泊3日:48時間)です。この間に、「微罪処分」が下されれば、それで刑事手続きは終了します。
 微罪処分は警察が行うものですが、その基準は検察によって定められています。微罪処分となった場合でも前歴はつきます。しかし前科はつきません。
 前歴と前科も両方とも記録として残りますが、前科は就職などに影響を及ぼす可能性が高いものです。
そのため、未成年が逮捕された場合も「微罪処分」となることが望ましいのですが、これは

・初犯である
・家族が支えられる
・軽微な犯罪である

などの条件を満たす必要があります。

 これを満たせない場合は、検察に送致されます。そして最大で10日間の拘留あるいは拘留に代わる観護措置がとられます。検察が捜査を終えると家庭裁判所に送致されます。そして家庭裁判所で審判が開始されるかどうかを決めます。審判が必要だとされた場合は、少年審判が行われます。なお少年審判は、原則として公開されない審判となります。

 そして、審判の結果として、

1.保護観察処分・・・家に戻り、保護観察司などによる生活指導を受けながら過ごす
2.更生施設へ送られる・・・少年院や児童養護施設に送られ、そこで過ごす。
3.児童福祉機関に送られる・・・児童福祉法による措置がとられる場合は、このやり方が選ばれます。ただしこの処置がとられるのは、未成年のなかでも18歳未満の者に限られます。
4.検察官送致・・・特に重大な犯罪であった場合(殺人など)は、検察官送致の決定がなされます。この場合、刑事処分が相当と考えられるため、成人と同じように刑事裁判によって裁かれることになります。故意に人を殺した場合で、かつ年齢が16歳以上である場合は、原則としてこの「検察官送致」の処分がとられます。

 また、これ以外にも「不処分」とされることがあります。不処分とされた場合は、今までと同じような生活に戻ることになります。

再犯を防ぐために~本人と家族ができること

 少年は、少年法の元で更生に努めるのが原則です。特に18歳未満である場合は、未成熟な人間であることを加味し、死刑判決は避けられます。
 しかし犯罪は犯罪です。少年法は「更生」を目的とするものですから、微罪処分に処された場合や不処分となった場合であっても、再犯を防ぐための取り組みをしていかなければなりません。また保護観察処分・更生施設送致・児童福祉機関への送致・検察官送致に至った場合も、二度と同じあやまちを繰り返さないようにするための手立てを講じなければなりません。それは少年本人のためでもありますし、何よりも「第二の被害者」を生み出さないためでもあります。
 これには、「本人の反省」も非常に重要ですが、家族の取り組みも重要です。

 家族は面会に行き、必要に応じて差し入れを行いましょう。面会は少年の状態を確認するための方法であると同時に、不安定な状態にある少年の心を安定させることにもつながります。逮捕後3日間は顔を合わせることはできませんが、面会が認められたのならば、できるだけ顔を合わせる機会を作りましょう。

 少年がだれかを傷つけてしまった場合、そのけがをお金で治すことはできません。また窃盗などを働いた場合も、被害者となった人は金銭的な被害だけでなく心の傷も負うことになります。これもまた、お金では癒すことはできません。
 しかし被害者に対して償える方法は、お金しかないのが現状です。そのため、示談交渉を行い、示談金を用意するようにしましょう。またなによりも、真摯な態度で謝罪を行い、心から詫びることが重要です。

 少年が社会に戻ってきたときに、以前と同じような交友関係を持たないように心を配ることも必要です。悪い仲間との交友関係が復活すれば、「朱に交われば赤くなる」というように、また同じような罪を犯してしまう可能性が高くなります。必要に応じて引っ越しなどを行い、物理的に仲間と距離をとらせることも重要です。

 少年犯罪が起きた場合、被害者はもちろん、加害者の家族も大きな心理的負担を抱えることになります。事件が起きたときには、できるだけ速やかに弁護士に相談してください。弁護士は加害者となった少年を支えるだけでなく、加害者のご家族のサポートも行えます。

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