インターネットで調べれば、いろいろな画像や情報に接することができるのが現在です。これは非常に便利なことなのですが、同時に、ゾーイングが難しくなっているともいえます。特に、本来は青少年の目には触れさせたくない卑猥な画像が、検索ひとつで見ることができてしまうのは大きな問題だといえます。
もちろん各家庭でフィルターをかけたり、卑猥な画像・情報を扱っているところは注意書きをしたりしていますが、子どもの好奇心はそれらを時に簡単に突破してしまいます。また閲覧するだけにとどまらず、「アップロードする側」に回ってしまうこともあります。
しかしこの「アップロードすること」は非常に危険な行為です。
今回は、「卑猥な画像をアップロードすることで問われる罪」についてとりあげていきます。
※なおここでは「画像」としていますが、「動画」なども対象となります。
自分の画像をアップロードするだけでもNG! 卑猥画像をSNSにあげることで問われる罪
卑猥な画像をアップロードするだけで、罪に問われることがあります。
卑猥な画像は、主に
・自分自身のもの
・ほかの人のもの
に分けられます。
ほかの人のものをアップロードすることももちろん罪になりますが(後述します)、自分自身の画像をアップロードしただけでも罪になる可能性があることはあまり知られていません。
自分自身の画像をアップロードすることで、「わいせつ物頒布(等)罪」に問われることがあります。わいせつ物頒布罪とは、その名前の通り、わいせつな画像や文章を頒布(ここではアップロード)したときに問われる罪のことをいいます。ちなみに、「この卑猥な画像を売り払ってお金儲けしてやろう」と考えている場合は、保管・所持をしていた段階で有罪と判断されることもあります。
また特に対象者(自分自身)が未成年であった場合は、児童ポルノ禁止法に違反していると判断されます。
「自分の写真ならば被害者もいないから、構わないだろう」「自分の意志でやっているのだから、問題はないだろう」と考えてアップロードをした場合、意図しないところで有罪と判断されることもあるので注意が必要です。
なおこのわいせつ物頒布罪に問われた場合、その罰はかなり重く、2年以下の懲役刑もしくは250万円以下の罰金(もしくは科料)が科せられます。「自分自身、あるいは仲間内だけでの楽しみ」にとどまらない点によく注意してください。
また卑猥な画像をアップロードすることで、個人情報とその画像を紐づけられたり、ほかの犯罪に巻き込まれやすくなったりといった問題を呼び込むことも考えられます。自分自身の身を守るためにも、決して行わないようにしましょう。
許されざる犯罪、「リベンジポルノ」
自分自身の卑猥な画像をアップロードした場合、罪に問われる可能性はありますがあくまで被害者は自分自身にとどまります。
しかしほかの人の卑猥な画像をアップロードした場合は、大きな問題となります。
交際中や婚姻関係にあるときに、恋人同士の楽しみとして(あるいは後述するように、相手の合意を得ずに)性行為を撮影するケースがあります。しかし、これは非常に危険です。
撮影された画像を交際・婚姻関係をやめたいと申し出た相手を「画像を撮影していた、ばらまかれたくなければ言うことを聞け」と脅迫することに使用される場合もありますが、「ふられたから実際にばらまいてやった」などのような報復目的で実際にばらまかれてしまうこともあるからです。
「リベンジポルノ」という言葉を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
これは、元配偶者や元交際相手の性的な画像を、無断でSNSなどに公開する行為をいいます。合意の元に撮影されたものであっても「あくまで合意したのは撮影をすることであって、ほかの人にばらまかれることではない」と考えるのが当然ですし、撮影していたことを内緒にしていたという悪質なケースまであります。
現在のインターネットの拡散速度はすさまじく、一度アップロードされてしまえばすぐに広まってしまいます。また、面白半分や犯罪目的で個人情報を特定しようとする人間もいます。この結果、リベンジポルノの被害にあった人が自殺してしまうケースすらあります。
リベンジポルノは決して許されない犯罪です。そのため、リベンジポルノを罰する法律も出来ています。リベンジポルノを目的として他者の卑猥な画像をアップロードした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。また、たとえ「不特定多数の人が見ることのできる状態」にしなかったとしても、リベンジポルノを目的として画像などを提供した場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます。
なお「交際相手ではなく、まったく知らない他人の画像」をアップロードした場合も、名誉毀損にあたるとして3年以下の懲役または禁錮、あるいは50万円以下の罰金に科せられます。
この罪は、わいせつ物頒布罪と併せて問われるものです。
「保存しただけ」「リツイートしただけ」でも罪になる可能性がある
「自分はアップロードはしていない。ただ、ほかの人がアップロードした画像が気になったので、リツイート(人の投稿をそのまま他の人に広めるための拡散行為)をしたり、保存したりした」という場合でも、罪に問われることがあると覚えておきましょう。
リツイートは「拡散行為」にあたります。このため、わいせつ画像をリツイートした場合は名誉毀損罪などにあたることもあります。また、流れてきたわいせつ画像が未成年者のものであった場合は、保存するだけで児童ポルノの「単純所持」にあたり罪となります。
リツイートや保存行為は、自分自身でアップロードしたものではないため、罪になるという意識が希薄な人も多いことでしょう。しかし実際には罪になる可能性があるのです。
SNSは、同好の士と繋がることができるとても便利なツールです。しかしそのツールを良くない方向に利用しようとした・利用した場合は、刑罰の対象となることを忘れてはいけません。たとえ匿名のツールであったとしても、捜査をすれば簡単にわかってしまいます。