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事件を防ぐために~ストーカー規制法の成り立ちと活用方法

山下江法律事務所

 「つきまとい」「つきまとい行為を行う人間」となります。また日本では、ストーキングすることを「ストーカー行為」として呼ぶ場合もあります。

 ストーカーとは、被害者となる人に好意またはその好意が満たされなかったことによる恨みの感情を持ち、

・つきまとい
・待ち伏せ
・立ちふさがり
・監視していることを告げる
・面会を強要する
・乱暴で侮蔑的な言葉を吐きかける
・無言電話やメールなどを過剰に送り付ける
・人に不快感や嫌悪を覚えさせるようなもの(動物の遺体など)を送りつけてくる
・誹謗中傷を行ったり、性的な羞恥心を喚起させるようなことを言ったりする

などのような行為に走る者をいいます。

 このようなストーカーに付きまとわれると、被害者は非常に疲弊します。そのような被害者の心身を守り、ストーカー行為をやめさせようとする法律があります。それを「ストーカー行為等の規制に関する法律」といいます。

 ここではこのストーカー規制法の成り立ちやストーカー規制法によってできること、ストーカーに悩まされている人がとるべき行動について解説します。

ストーカー規制法とは~痛ましい事件の後にできた法律

 ストーカー規制法は、2000年に成立した法律です。2017年に改正が行われ、より現代の価値観や被害者の救済にフォーカスした内容となりましたが、このストーカー規制法が成立する前に、大きく、また悲劇的な事件が起きたことを忘れてはいけません。

 その事件は、1999年の10月に起きました。当時21歳の女子大生が、元交際相手とその仲間によってストーキング行為のターゲットとされたのです。このストーキング行為は、「元交際相手の仲間による女子大生の殺害」という最悪の結果を持って終わりました。

 被害者の女子大生は何度も警察に相談していたのにも関わらず、「民事の範疇なので」と追い返されたとされています。当時はストーカー規制法がなく、加害者の行為を取り締まるのが難しかったという事情もありました。

 この悲劇的な事件は、「桶川ストーカー事件」と呼ばれています。痛ましいこの事件は、日本の歴史に深い爪痕を残しました。そして二度と同じ事件を繰り返してはならないという考えのもと、2000年に「ストーカー規制法」が成立したのです。

ストーカー規制法で何ができる?

 ストーカー規制法ができたことにより、警察も積極的にストーカーに対して働きかけることができるようになりました。ストーカー規制法では,同一の者に対してつきまとい等を反復継続してすることを「ストーカー行為」と定義し,厳しく取り締まっています。
 警察署長の権限によって、つきまとい等の行為をしている加害者に対してつきまとい等の行為の取りやめの警告を出せるようになったのです。またそれでも止まない場合は、禁止命令を出すこともできます。さらに、法的な罰を下すこともできるようになりました。

 ストーカー規制法では、以下のような罰則を定めています。

 ・ストーカー行為をした者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す
 ・禁止命令が出ているにも関わらず、それを無視してストーカー行為を続けた者に対しては、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す
 ・禁止命令に違反した加害者には、半年以下の懲役または50万円を科す

 ストーキングをしている人間は、たとえ警告や禁止命令が出たとしても依然としてつきまとい行為を繰り返し続けることもあります。しかし、「当事者や当事者の家族がどれだけ拒絶の意志を示しても加害行為がやまなかったが、警察という第三者機関を入れて警告を受けたことで加害行為がやんだ」というケースもあります。
 罰則を怖がったのか、第三者機関が間に入ったことで冷静さを取り戻したのか、あるいは「警察に相談するということは被害者側も本気だ」と伝わったからやめたのかは、ストーカーによって異なります。しかし「だれかに相談し、必要と判断されれば罰則が科せられること」は、被害者の心を支える大きな柱となるでしょう。法による罰則は、ストーカー行為をやめさせる一助になっていることは間違いないといえます。

 実際に、このストーカー規制法が敷かれた後で、ストーカー規制法に違反したとして逮捕される人間も多数出てきています。もちろん「逮捕して終わり」というわけではありませんが、檻の中からはストーキング行為はできません。このため、被害者も安心して生活を送ることができるようになります。

ストーカーに悩む人は、まずは警察や弁護士に相談を

 1999年に起きた事件では、「警察がもっとしっかりと対応していたのならば、被害者の命を助けられたかもしれない」として大きな批判の声が巻き起こりました。このようなことを踏まえ、現在は警察側もストーカー被害に対して真摯に向き合う姿勢をとっています。

 また、弁護士への相談も有効です。弁護士を間に挟んだ場合、加害者に対して「ストーカー行為をやめるように」「やめなければ法的措置にうつる」などのような通知を出すこともできます。さらに、警察に相談をしにいくときのサポートも行ってくれます。慰謝料などが発生する場合でも心強い味方となってくれます。
 なお弁護士には守秘義務がありますから、相談内容がほかに漏れることもありません。

 警察や弁護士に行く前に、あるいは行った後も、周りの人に現在の状況を打ち明けることも重要です。特に、「加害者に知られないように転居する」などの場合は、きちんと口止めをしておかなければなりません。被害者と加害者が付き合っていた場合などは、「別れたとは知らず、善意で新しい住所を教えてしまう人」が出てくる可能性もあるからです。

 警察に相談をすれば警告を出してもらうことができますし、弁護士を間に挟めば法的措置を検討していることを相手に伝えることができます。また周りの人にしっかりと相談や根回しをしておくと、トラブルが起こりにくくなります。

 何よりも、「悩んでいるのは自分一人ではない」「自分には味方がいるのだ」「何かあったときに助けてくれる人が複数人もいる」という感覚は、ストーカーと戦う有効な手段となり得ます。必ず周りの人に相談し、1人で抱え込むことがないようにしてください。

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