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犯罪被害の示談

山下江法律事務所

目次

犯罪被害の示談

 犯罪の被害に遭われた方から今後について相談を受けることがあります。
 加害者の家族や犯人の弁護人(弁護士)から示談の申し出があったとき,どのように対処すればよいでしょうか。

 そもそも犯罪で肉体的,心理的に傷ついており,被害を受けたことと向き合う気持ちになれないときには会うことを断るべきかもしれません。
 加害者の家族や弁護士にあなたを傷つける意図はないかもしれません。しかし,加害者を思うあまり,あるいは,様々な無理解や思い込み,勘違いにより,あなたを傷つけるようなことを言うかもしれません。

 なんとか向き合える。

 そういうときには以下の2つのことをよく覚えておいてください。

  1.  示談に応じればもちろんのこと,賠償金を受領するだけで刑事処分が軽くなる可能性がある。
  2. 刑事処分が決まった後は示談の機会は来ないかもしれない。

 どういうことかといいますと、検察官や裁判所が最終的に刑事処分を決めるにあたっては,どのような動機で,どのような犯罪をしたかがとても重要ですが,事後的な事情,すなわち反省しているとか今後の生活の再建が見込めるとか,被害者に対してどのように行動してきたかなどといった事情も一定程度考慮されます。

 自己の犯行の被害者に真摯に向き合い,謝罪や賠償をし,また被害者から赦しを受けたといった事情があれば処分に与える影響は大きいです。特に窃盗や横領などの財産犯では賠償の事実は刑罰を大幅に軽減することにつながる可能性があります。
 このような事情があるので刑事処分が固まる前に加害者側は親戚からお金をかき集めてでも示談を急ぐのです。
反面,刑事処分が決まってしまうと刑罰を軽くするために示談する動機付けを失います。道徳的にはほめられたことではありませんが知らんぷりになる可能性があるのです。

 加害者側からの積極的な働きかけがないからといって被害者には損害賠償請求する権利を失うわけではありません。しかし,加害者にその気がなければ最終的には裁判を起こす必要が出てきますし,たとえよい判決をもらっても相手が文無しであれば1円も回収できない可能性もあります。

 以上のように,犯罪被害の示談の場面では,被害者は犯罪により傷ついた状態にありながら,さまざまな思惑に巻き込まれます。一人で対処すれば心の傷を拡げることになりかねません。
 示談交渉は弁護士があなたの代理人として交渉を行うことが出来ます。
 犯罪に巻き込まれてしまった際には是非当事務所にご相談ください。

執筆者:山下江法律事務所

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